辻 石斎
北大路魯山人が大正14年開業の「星岡茶寮」のためにデザインし、二代目 辻 石斎と作り上げた霞蒔絵の入った吸物椀。ただ一つの模様のない漆黒の様相から、蓋をあげることによって現れる霞(違う世界や空間をつなぐと言われる)によって異次元へといざなう趣向をこらしたデザイン。星岡茶寮が霞ケ関の裏手にあたる場所だったので、蓋裏にだけ蒔絵を描く魯山人のなぞかけが感じられる。 こちらは星岡茶寮で使用されていたものが修理品として辻 石斎の元へ持ち込まれていたが、修繕を待たずして不要のものとなったため、そのまま辻 石斎の蔵に眠ることとなったものである。 この椀が制作されたのは昭和20〜30年代であるが、本当のオリジナル品がいつから生産されていたのかは不明である。辻 石斎の蔵から現五代目 辻 石斎により発見された折り紙つきの一品。 ※修繕前の保管品のため、使用感と経年の傷がございます。ご理解の上ご購入ください。 ※辻 石斎 の蔵出し品のため、真贋の保証された今後二度と出ることのない一品です。
空気中の塵との戦いの中で行なう上塗の作業と適度な温度と湿度を保った漆風呂と呼ぶ室の中で乾燥させる。 神経のはりつめたきめ細かい手仕事を繰り返し完成する作品は漆独特の艶やかな美しい仕上がり。
木地に和紙を何重も重ね張り合わせた後に漆で仕上げる日本の伝統工芸。 古くは大陸から伝わり京都で栄えた手法で二代目辻石斎も京都にてその技術を習得し山中に持ち帰った。 防水・補強となる技術のため、煮物をメインディッシュにしていた星岡茶寮の汁物椀に不可欠な要素であった。
400年の山中漆器の伝統の中で築かれた職人技のろくろ挽きは糸目挽きに代表される自然の美しさを生かすため、生漆をそのまま木地に摺込み拭きあげる工程を何度も繰り返し、杢の美しさをいかして仕上げます。