現代では少し珍しく目に移るかもしれない、ノッチドラペルのダブルブレストジャケットです。 19世紀〜20世紀初頭にかけてよく見られていた sac jacket を彷彿とさせる雰囲気があります。 フロントの開きとボタンスタンスはともに狭めに取られていて機能を優先していた当時の面影を感じます。 同時に、ボディや袖のライニングにコットンを用いているのも、防寒と耐朽性を求めた名残ですが、現代に落とし込む中で「生地のハリ」を生かして身頃や袖の立体感の演出に活かしています。 ボタンを留めずに軽く羽織るのも良いですし、ピーコートのようにスタイリングに取り入れてもらうこともできるヨーロッパの季節感を感じることのできるアイテムだと思います。 北イタリア、ビエラ地方のウール。カシミアとモヘア混のクラシカルな柄の生地になります。ウールを櫛でといて、荒い繊維を掻き出した繊維長の長い艶やかな糸だけを使用した上質な生地になります。

(サイズ)
50 (肩幅 42cm 身幅 55cm 着丈 70cm 袖丈 66cm)
52 (肩幅 45cm 身幅 57cm 着丈 72cm 袖丈 66cm)


(素材)
Wool 36%
Cashmere 35%
Mohair 29%


(生産国)
ITALY

デザイナーであるクラウス・プランクは2010年、Bergfabel （バーグファベル）をスタートしました。 ブランド名はドイツ語で「山」を意味する「Berg」と「物語」を意味する「fabel」という言葉を繋げた造語です。 これは、クラウスのルーツであるチロル地方に根差した文化やスタイルを自身のコレクションをフィルターにして、現代に紡いでいきたいという想いの現れでもあります。 そのため、コレクションにはチロル地方に息づく伝統的なスタイルやクラフトワークが随所に見受けられます。 ブランドを代表する19世紀頃の彼の地の農民服や音楽隊が着用していた衣服から着想して作り出されるコレクションは、過度なデザインは排し、そこに生活する人を支えて来た文化としての洋服や着こなしといったスタイルを提案しています。 曖昧な表現になってしまいますが、決して目を引くような真新しさではなく、どこかで見たことのあるような雰囲気や暖かみを感る世界観こそがブランドの最大の特徴と言えます。 毎シーズン少しづつ新作を加えながら、デザイナーの目の行き届く範囲で、限られた人たちとの協業によって生み出されています。

（＊チロル地方やイタリアンアルプスというと聞き覚えのある響きからのどかな自然や山間の村をイメージされるでしょう。一方で日本では知られていませんが、歴史的にイタリア、ドイツ、オーストリア、スイスの狭間にあって、複数の文化が入り交じった特異な環境でもあります。このような背景もコレクションに多大な影響を与えています。）