Nigel Cabourn
ベースになったデザインは、人類で初めてエベレスト山頂に立ったエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイの所属する英国登山隊に参加したドクターが着用していたシャツです。 一般的なシャツは背ヨークの部分のみが2枚の生地が重なっていますが、本製品はアームホール全周から肩、背にかけて生地が2枚重ねになった特徴的な構造になっています。こうして上半身で最も運動量の大きい両腕を中心とした部分ががっちり補強されている訳です。 また、袖口から肘に掛けて腕部分も二重構造になっておりハードな使用に耐えうる設計になっています。ボディ部分が2重に補強されているため、そのままでは通気性に劣ります。これをカバーするために背中に4個、脇に4個の菊穴が開けられており、ベンチレーション機能を付与されています。比較的単純な仕様に見えますが、生地に丸い穴が開いていることになります。生地は通常タテ・ヨコの糸で構成されていますので、その連結を断ち切る穴はそこから生地を破壊してしまう要因になります。その部分を特殊なミシンで加工し、長期間の着用にも充分耐えうる強度にあげるには高い加工精度が必要になります。ボタンは堅い椰子の実を加工したキャッツアイを使用しています。その名の通り、猫の目のように中央部分に鋭く切り込みが入っています。この切り込みの溝の部分に糸が沈むようになっており、糸切れによるボタンの脱落を防ぐディティールです。
1949年イギリス生まれ。 17才でニューカッスル・アポン・タイン大学のファッション学科に入学。 ファッションキャリアのスタート地点に立つ。 カレッジの最後の年に自らの会社"CLRICKET CLOTHING LTD."を起ち上げる。 3年後にはパリで行われたメンズウェアショー"S.E.H.M"に出展。ハリス・ツイードを使ったコレクションを発表。 本格的に海外への展開を開始。 1996年ロンドンのコベント・ガーデンにNigel Cabourn一号店をオープン。 ナイジェル・ケーボンのコレクションは現在ふたつのラインで展開されている。 ひとつは日本で生産されている。"Main Line メイン・ライン"。もうひとつがイギリスのメーカーで可能な限りイギリス産の生地を使って生産する"Authentic Line オーセンティク・ライン"である。 どちらもナイジェル自身によるデザインとなっています。